RAIDとは
RAIDとは、データを保存する際、一つの磁気ディスクにすべて保存するのではなく、あえて複数のディスクに分散して保存することです。
そうすることで、もし一つの磁気ディスクが紛失したり破損しても、他の磁気ディスクやパリティから、破損した内容を予測できます。そのおかげで高信頼性を維持できるシステムです。
また、分散して保存するため、ディスクへの書き込み時間の高速化が図れます。
イメージで覚える
RAIDは、人が記憶するイメージで考えてみると分かりやすくなります。
RAIDを使わない方式は、一人ですべての情報を記憶するときを、
RAIDを使う方式は、複数人で分担して記憶するときをイメージしてみてください。
これから、この例を出して説明していきますね。
RAIDを使わないイメージ
RAIDを使うイメージ
RAIDのメリット
RAIDのメリットは以下の二つです。
メリット1:複数の磁気ディスクに分散して書き込むため、高速で保存することができる。
一つ目のメリットは、複数の磁気ディスクに分散して書き込むため、保存するための時間が短くなる点です。
RAIDの仕組みは、データをコントローラーが自動的に分散し、それを複数の磁気ディスクに書き込むという方式です。
この分散して書き込む分、一台にすべてを書き込むのと比べて処理時間が短くなっているんですね。
先ほどの例で考えてみましょう。
例えばデータとして「東京都港区浜松町10-20-30 〇△マンション□階☆号室」という住所があったとします。
まずRAIDを使わない場合、一人ですべてのデータを覚えなければならないため、少し時間がかかってしまいます。
しかしRAIDを使って三人で分担して覚える場合はどうでしょう。
今度は、分担するので一人あたりが記憶する量が減ります。
また、三人で同時に記憶することができる点から、記憶するのにかかる時間は一人の時と比べて少なくて済みます。
このように、RAIDを使うことでデータを磁気ディスクに書き込む時間が少なくなるのです。
メリット2:磁気ディスクが故障しても、被害を最小限に抑えられる。
二つ目のメリットは、磁気ディスクが故障したりしても、被害を最小限に抑えられるという点です。
これも先ほどの例に例えてみましょう。
もし一人ですべてのデータを記憶している場合、その人が忘れてしまったら、すべてのデータが失われてしまいます。
しかし複数人で分散している場合、誰かが忘れてもその他の人のデータは消えません。
さらに、もし他の人のデータの内容を知っている人がいたら、その忘れてしまったデータを復旧することもできます。
この、他の人が忘れたりしてしまったときにデータを復旧するためのデータをパリティと言います。
このようにRAIDで分散して覚えることで、どれか一つの磁気ディスクが故障してもデータ自体は壊れなかったり、パリティによってデータを復旧できたりします。
RAIDの種類
ここまで一言でRAIDと言ってきましたが、実はRAIDにはいくつかの種類があります。
そのうち、試験によく出るものをご紹介します。
RAID0
RAID0は、データをブロック単位で分け、複数のディスクに分散して記録する方法です。
これをストライピングと言います。
RAID0では、データを分散してディスクに書き込むため、高速で保存することができます。
しかし、他のディスクの情報を持っていないので、データを失ったときの復旧はできません。
RAID1
RAID1は、データを保存する際、全く同じデータをもう一つ別のディスクに保存しておく方式です。
これをミラーリングと言います。
おかげで、もしデータが破損しても、もう一方のデータを使えるので失ったデータの復旧が可能です。
しかし、使うデータは変わらないのに保存するデータの量は二倍になるため、使用効率は悪いです。
RAID3
RAID3では、パリティという壊れたデータを復旧する用のデータを使います。
ここでは、データを記録する磁気ディスクの他に、パリティ専用の磁気ディスクを用意してパリティを入れておきます。
このパリティと、残ったデータを使用することで、もしデータが破損した場合でもデータを修復することができます。
しかしパリティが入っているのは一つの磁気ディスクだけなので、複数のデータが破損すると、アクセスが集中して処理が遅くなるというデメリットもあります。
RAID5
RAID5は、RAID3からパリティの保存方法を変更した状態です。
RAID3ではパリティ専用の磁気ディスクを一つ用意して保存していましたが、RAID5ではパリティもデータ同様に分散して保存しています。
これにより、データを復旧する際にアクセスが集中しないため、高速でパリティを読み込むことができます。
RAID6
RAID6は、RAID5をさらに進化させ、パリティを二本にしたものです。
これにより、より高い障害復旧性を実現することができるようになりました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
まとめるとRAIDとは、データを複数の磁気ディスクに分散して保存する方式です。
これによりデータを書き込むスピードを上げることができます。
また、パリティを使用することで破損したデータの復旧もできるため、高信頼性を維持することができます。
基本情報技術者試験では、各RAIDの特徴が出ることが多いので、しっかり覚えておいてくださいね。
練習問題
問題1
問)RAIDの分類において,ミラーリングを用いることで信頼性を高め,障害発生時には冗長ディスクを用いてデータ復元を行う方式はどれか。
(出典:平成元年度 秋期 午前 15問目から出題)
ア、RAID1 イ、RAID2 ウ、RAID3 エ、RAID4
答)ア
ミラーリングして同じ内容のディスクを二つ用意しているのはRAID1です。
問題2
問)RAID5の記録方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
(出典:平成29年度 秋期 午前 問12)
ア、複数の磁気ディスクに分散してバイト単位でデータを書き込み,さらに,1台の磁気ディスクにパリティを書き込む。
イ、複数の磁気ディスクに分散してビット単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクにエラー訂正符号(ECC)を書き込む。
ウ、複数の磁気ディスクに分散してブロック単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクに分散してパリティを書き込む。
エ、ミラーディスクを構成するために,磁気ディスク2台に同じ内容を書き込む。
答)ウ
RAID5の特徴は、パリティも分散して磁気ディスクに書き込むことです。
そのため、答えはウになります。
問題3
問)データを細分化して複数台の磁気ディスクに格納することを何と呼ぶか。
(出典:平成21年度 秋期 午前 問12から出題)
ア、ストライピング イ、ディスクキャッシュ ウ、ブロック化 エ、ミラーリング
答)ア
データをブロック単位で分け、複数のディスクに分散して記録する方法をストライピングと言います。